インドでは3/25から5/31まで、ロックダウンが続きましたが、6月から段階的に解除していくこととなり、Unlock1.0が始まりました。これまでとの違いについて、少し触れてみたいと思います。
これまで3度延長されたロックダウンですが、6月から段階的に解除していくこととなりました。
ムンバイがあるマハラシュトラ州を筆頭に、インドでは感染者が1日8,000名を超すペースで増え続けており、20万人に迫る勢いですが(あっという間に世界ワースト7入りしてしまいました。。。)、他の国と同様、経済の落ち込みが激しいため、再開が必要と判断し、舵を大きく切る局面を迎えました。
先週から既に国内線旅客機が2か月振りに再開されていますが、
- 第1段階として、6/8(月)から飲食店、ホテル、ショッピングモール等が再開
- 第2段階として、学校の再開時期は7月に決定
- 第3段階として、国際線旅客機、メトロ(都市高速鉄道)、映画館、スポーツジム、娯楽施設の営業や、大規模な集会への参加は、状況を見ながらいつ再開するかを判断
というガイドラインが発表されています。
これまでは、
- Lockdown1.0:3/25~4/14(21日間)
- Lockdown2.0:4/15~5/2(18日間)
- Lockdown3.0:5/3~5/17(15日間)
- Lockdown4.0:5/18~5/31(14日間)
という表記でしたが、6月からは「Unlock1.0」となっています。厳しいロックダウンが終わって、新たなスタートを切るという意味でおそらくこの言葉が使われているのでしょう。
しかし、この「Unlock1.0」ですが、上記以外のガイドラインも定められています。『感染が最も深刻なコンテインメントゾーン(封じ込め地区)では、従来の厳しい外出制限を6月末まで延長する。』という内容です。
ムンバイはインドの中でも一番感染者が多い都市で、ムンバイだけでも現在41,000人を超えており、インド全体の感染者の約20%以上を占めています。そのため、コンテインメントゾーンも約670か所あり、私が住んでいる地区や当事務所がある地区もその中に含まれています。
日本の新聞等では、「都市封鎖解除」「経済再開」と報道されていますが、あくまで感染者の少ない地域での話であり、ムンバイ等の感染者が多い地域では従来の厳しい措置が依然として6月30日まで続いています。Unlock1.0ではなく実質はLockdown5.0が始まった状態です。
さて、ムンバイでは今月の6月から約4か月間、まったく晴れ間が見えない雨季に入ります。(他の時期は雨がまったく降りませんが、この時期は毎日のように雨が降ります。道路の水はけが悪いため、街の至る所で池や川のようになります。)公衆衛生面などの不安から、感染がさらに増加してしまうのではないのかと危惧しています。
加えて、パキスタンを襲ったバッタの大群が、現在、国境を越えインドに押し寄せてきています。過去30年間で最大規模になる可能性があると言われており、バッタは野菜や豆類を食い荒らすため、食糧被害への懸念も出ています。
コロナウイルス、バッタ、断続的な大雨と挙げると、どうしても悲観的になってしまいますが、「明けない夜はない。Lockdownが終わり、ついにUnlock1.0が始まった」と気持ちを新たに切り替えて過ごしていきたいと思います。
参考
横浜市では、市内企業・団体等の皆様にお役立ていただくため、感染が世界的な拡大の兆しを見せた2020(令和2)年2月から、フランクフルト、上海、ムンバイ、ニューヨークに所在する4つの事務所が、それぞれの所在地域における新型コロナウイルス感染症に関する情報を独自に収集し、神奈川新聞及び各事務所のウェブサイトで発信してきました。
そのような、まさに現地に駐在している職員だからこそ可能な、現地における市民生活への影響、経済活動の動向、感染症対策などに関する情報発信は約1年間に渡り、57件を数えました。このたび、それらを「コロナ禍の世界 記録集」として一冊にまとめ、改めてお届けします。
コロナ禍の世界 記録集(2020~2021年)27.57MB