5月末で全国的なロックダウンを解除し1か月以上経ちましたが、感染者数はこの1か月で急増しています。最近の状況について少し触れてみたいと思います。5月末で段階的にロックダウンを解除してから1か月以上経ちました。
Unlock開始時の6/1の感染者数は約19万人でしたが、7/10現在で約79万人と4倍も増えてしまい、あっという間にアメリカ、ブラジルに次ぐ世界でワースト3の感染者数となってしまいました。現在は残念ながら1日2万人を超えるペースで増えています。日本の累計感染者数は約2万人ですが、毎日その数字分増えていることになります。
州ごとに見ると、ムンバイがあるマハラシュトラ州の感染者数が最初からずっと国内最大となっています。マハラシュトラ州の感染者数だけで約23万人です。この数は、1か月前の6/1現在のインド全体の感染者数を上回っているどころか、ドイツやフランスを上回る世界第14位の数字となっています。
インド感染者数約790,000人という数字だけ見ると、日本感染者数約20,000人に比べると相当多く、約40倍です。ただ、死亡者数の数字を見るとインドは約21,600人で日本(約1,000人)の約22倍。死亡率に換算すると、インドは約2.7%で約5%の日本よりも低い数字です。
また、検査数の違いも注目すべきポイントです。7月9日時点で比較してみると、
- (インド)累計約11,000,000件、1日あたり約280,000件
- (日本) 累計約 440,000件、1日あたり約8,000件
となり、累計ベースでは日本の約25倍、1日ベースでは約35倍と、インドの検査数は日本よりも桁外れに多いことを意味しています。
さて、7月1日以降はunlockの「第2期」としていますが、学校での授業、国際線の旅客便、メトロ(都市高速鉄道)、バー、映画館、スポーツジムなどは引き続き全国一律で禁止されています。加えて、ムンバイがあるマハラシュトラ州は感染者数の増加が止まらないため、全域を対象に封鎖措置を7月末まで延長しています。
3月下旬からの最初のロックダウンよりは措置内容は緩くなっていますが、それでも通勤、医療機関受診、生活必需品の買い物以外の移動を厳しく取り締まる政策となっています。
ムンバイ警察は、市民の移動を自宅から2キロ圏内に制限(ただし、通勤や医療機関の受診は除く。)すると発表し、外出制限に違反したとして約16,000台の車両を1日で押収しましたが、取締強化のため大規模な交通渋滞を引き起こしたため、多くの反対を受け、わずか1週間で2キロ制限ルールは廃止となりました。
ムンバイでは、症状が無くても、処方せん無しで約3,500円を払えば、誰でも検査を受けることができる体制を整える等、感染拡大防止に向け取り組みを進めていますが、いまだピークが見えません。
右肩上がりで増え続けている今の状況を踏まえると、「社会的距離を保つ、手洗いやマスクの着用等を徹底する、唾を地面にはかない」等、日本ではごく当たり前となった感染防止に向けた意識や行動が、様々な事情により、インドでは一人ひとりにまだまだ十分に浸透できていない可能性が相当高いのではないのかとつい思ってしまいます。7月にピークアウトを迎えるという専門家もいれば、11月に迎えるという専門家もいます。早くピークアウトを迎えてほしい。心からそう願う毎日です。
参考
横浜市では、市内企業・団体等の皆様にお役立ていただくため、感染が世界的な拡大の兆しを見せた2020(令和2)年2月から、フランクフルト、上海、ムンバイ、ニューヨークに所在する4つの事務所が、それぞれの所在地域における新型コロナウイルス感染症に関する情報を独自に収集し、神奈川新聞及び各事務所のウェブサイトで発信してきました。
そのような、まさに現地に駐在している職員だからこそ可能な、現地における市民生活への影響、経済活動の動向、感染症対策などに関する情報発信は約1年間に渡り、57件を数えました。このたび、それらを「コロナ禍の世界 記録集」として一冊にまとめ、改めてお届けします。
コロナ禍の世界 記録集(2020~2021年)27.57MB