イノベーション創出のエコシステム
- 横浜市には様々な企業や大学の研究機関に加え、多くのスタートアップ企業が集まっています。
- 産官学の連携を促すプラットフォームも整備され、横浜には未来のイノベーションを生み出す環境「イノベーションのエコシステム」があります。
- MICE施設が充実しているほか、コワーキング・スペースも増加しており、ネットワーキングのための会議、展示会、ワークショップ、セミナーなどが活発に開催されています。
- 横浜市は、社会的課題の解決に向け企業とも積極的に連携を図っており、SDGs達成にも力を入れています。
イノベーションのエコシステム
横浜市は1859年の開港以来、内外から多くの人々が集まり、交わり合うことで、新たな価値を生み出し発展してきた都市であり、イノベーションのエコシステムのDNAが備わっています。今日、横浜市には、ライフサイエンス、IT、モビリティ、製造技術分野に強い企業や大学・研究機関が集まっています。市内には26の大学と157の研究機関が立地しており、理化学研究所、横浜市立大学、慶應義塾大学、東京工業大学、横浜国立大学などで日本を牽引する先端研究が行われています。また、中小企業支援センターとして活動する横浜企業経営支援財団(IDEC Yokohama)が市内で複数のインキュベーション・センターを運営しています。さらに、近年では、Appleをはじめ、資生堂、村田製作所、LGなど大企業のR&D拠点の開設が決まるなど、企業の研究開発施設の集積が加速しています。みなとみらい地区では、顧客やパートナーとのコクリエーション拠点を設立する企業も増えています(例:富士ゼロックスのお客様共創ラボラトリー、富士通エフサスのみなとみらいInnovation & Future Center、IHIのIHIつなぐラボなど)。
横浜市は、企業・大学・研究機関にインタラクティブな対話の機会を提供し、新技術・新製品の開発を促進する、産官学の連携プラットフォームとして、横浜ライフイノベーションプラットフォーム(LIP横浜)やIoTオープンイノベーションパートナーズ(ITOP横浜)を運営しています。各プラットフォームでは、マッチングイベント、セミナー、交流会などの開催を通じたネットワーキング支援、スタートアップ企業の研究開発・事業化支援を実施しています。また、LIP横浜とITOP横浜の相互連携も目指しています。海外企業も両プラットフォームの協力機関として参加しており、LIP横浜は米国カリフォルニア州のバイオクラスターBIOCOMの国際連携パートナーにもなっています。
また、横浜市にはネットワーキングに欠かせないMICE施設も充実しています。年間を通じて複数の国際会議や展示会を開催するみなとみらい地区のパシフィコ横浜をはじめとして、MICEの目的やニーズにあわせて多様な選択肢を提供できるコンベンション施設のほか、会議室を備えた宿泊施設も多数整備されています。このほか、横浜市は、市内の企業関係者や起業家、学生などが集い、交流するためのワークショップ、セミナー、交流会などを開催しています。
横浜市内のコミュニティ型コワーキング・スペースも増加しています。オーシャンゲートみなとみらいへのWeWorkの入居をはじめ、新たに開発される多くのオフィスビルで、外に開かれたコミュニケーションスペース機能の設置が予定されています。また、パナソニックを中心に、企業・大学・横浜市が連携して2018年3月に綱島に街開きした次世代都市型スマートタウン「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」では、街を活用した実証実験が行われているほか、オープンイノベーション拠点「イノベーションスタジオ」なども構築されています。
横浜市は企業との連携を通じて、社会的課題の解決にも取り組んでいます。2008年には公民連携の専属部署である共創推進室を全国に先駆けて設置し、公民連携のリーディング・シティとして、過去10年間で民間企業・団体から725件の提案を受け付け、311件の実証実験や社会実装などを実現させました。例えば、2017年、NTTドコモが持つAI技術と、横浜市が持つ約20,000語のごみ分別の検索データを使って、ごみの出し方を対話形式で案内するChatbotサービスを開発して実証実験を実施し、2018年から市内で本格導入が始まっています。横浜市はこうした公民連携を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できると考えています。
2019年に、横浜市長によって「イノベーション都市横浜」が宣言され、2020年に、スタートアップ成長支援拠点「YOXO BOX」が開設、2021年にはイノベーション創出の推進機関「横浜未来機構」が発足するなど、イノベーションのエコシステムの形成に向けて前進し続けています。