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【HLPF2024レポート②】気候変動とSDGsのシナジーに関する国連関連イベントで横浜市の取組を紹介しました

執筆者 | 2024年7月22日

7月8日(月)から17()にかけて、米国・ニューヨークの国連本部において、2030アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)のフォローアップとレビューを行う主要な場である「国連持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が開催されました。

2012年から毎年開催されるHLPFには、各国の閣僚級を含むリーダーや、NGOなど市民社会の代表者が参加し、政治的リーダーシップや指針を提供し、あらゆるレベルにおいて全体的かつ横断的に、持続可能な開発の経済・社会・環境の側面の統合を強化するため、新たに発生する課題などが議論されています。

今回は、気候変動対策とSDGs達成に向けた取り組みの連携、シナジーに関するセッションについてレポートします。

 

気候変動対策とSDGsのシナジー

 

SDGsの達成、及びパリ協定の野心的な目標を達成するには、現状の取組は不十分であり、国連経済社会局(UN DESA)や気候変動に関する国連枠組条約(UNFCCC)では、双方の取組のシナジー(相乗効果)を発揮して必要があるとの認識の下、7月16日には、HLPF特別イベントとして、「気候とSDGsのシナジーを通じて、私たちが望む未来への野心のギャップを埋める(Bridging the Ambition Gap for the Future We Want through Climate and SDGs Synergy)」が開催されました。

Bridging the Ambition Gap for the Future We Want through Climate and SDGs Synergy

イベント冒頭では、李軍華経済社会担当国連事務次長から、気候変動により、生態系への影響や、食糧危機、災害の激甚化、さらに社会的・経済的にも最も弱い女性や子供などの貧困に繋がっている現在は、気候変動対策とSDGs達成に向けて歴史上でも重要な瞬間であるとの認識が示され、包括的な対策の必要性について述べられました。

続いて、日本の滝沢求環境副大臣からは、気候変動と生物多様性の損失、汚染分野の3つの世界的な危機を克服するため、シナジーを世界規模で推進する必要性について述べられました。さらに、2022年7月にUN DESAとUNFCCC共催による「第3回パリ協定とSDGs のシナジー強化に関する国際会議」を環境省がホストしたことや、本年3月のUNEA6(第6回国連環境総会)で採択されたシナジー推進のための決議を提案したこと、さらには、専門家会合から今回のHLPF特別イベントの場において公表された「気候変動とSDGsのシナジーに関する第2次グローバル・レポート(第2次シナジーレポート)」の内容への貢献などに触れ、地域における更なる取組を促進するため、アジア太平洋シナジーレポートをUNESCAP, ADB, JICAと協力して発表する予定であるこが表明されました。

イベントの様子

 

第2次シナジーレポートと横浜市の取組紹介

 

今回の特別イベントでは、第2次シナジーレポートが公表され、その内容について専門家会合共同議長であるLuis Gomez Echeverri氏及びHeide Hackmann氏から紹介があり、その後、本イベントの参加国や国際機関、地方政府、NGOなどの代表者らから、気候変動とSDGsの取組に関するシナジーを発揮するための多岐にわたる洞察などが述べられました。報告書の内容を中心に、議論のハイライトをまとめると下記のポイントが取り上げられていました。

レポート報告の様子
  • SDGsのターゲットの80%以上が気候変動に直接的に関係しており、気候変動対策とSDGsの推進を別のものとして扱うことはできず、多様な主体との連携による統合的・包括的・体系的なアプローチが必要不可欠である。
  • 2030年まで折り返しを過ぎた現状では15%のSDGsのターゲットしか達成できていないが、仮にシナジーを発揮せず別個に取り組んだ場合、パリ協定の1.5℃目標達成に必要な資金は約43億ドル不足し、8,400万人以上が2050年までに飢餓にさらされ、8,000万以上の雇用が低炭素で資源効率的な経済に移行期を経ずにシフトさせられる等、大きなリスクがある。
  • もし両者の取組にシナジーを発揮して取り組みを進めた場合は、必要な資金ギャップを減らし、ターゲット達成を加速化させ、移行期を確保して気候変動対策のトレードオフを制限することで、70%のSDGsターゲットが実現可能になり、再生可能エネルギーの分野で2,400万の新たな雇用が創出され、グリーンエコノミー以降による共有された経済利益は4倍になる等のシナリオを描くことができる。
  • あらゆる分野で、制度上・行動論上も大きな変革が必要であるが、トップダウンのアプローチではなく、地域の文脈を踏まえ、コミュニティの参加により、気候変動とSDGsの取組を地域に落とし込んでく(ローカライズ)ことが重要である。
  • 都市の役割はこのような意味で重要であり、SDGsの65%の目標は都市を通じてでなければ達成ができない点も改めて認識する必要がある。特に、グリーン・ブルーインフラなどによる冷却手法、産業・建築物のエネルギー効率の向上、交通システムの改革、循環型廃棄物管理といった都市が実施する需要サイドの気候変動対策はSDGsとのシナジーを発揮する上で非常に大きなポテンシャルがある。
  • 既に気候変動の影響を受けている、あるいは受けるであろう最も脆弱なコミュニティを保護していく必要がある。また、政策を立案・実行・評価するために必要なデータやナレッジを共有するためのグローバルなプラットフォームを設立していくことはシナジー発揮にとって不可欠である。

同イベントでの議論の後には、日本国環境省がホストするハイレベル昼食会が開かれ、世界の気候変動とSDGs達成のシナジー発揮に先進的に取り組む各国又は国際機関の代表者約100名が招待され、横浜市米州事務所の関谷聡所長も参加しました。

昼食会場では、各国又は国際機関の代表者に続き、関谷所長からもスピーチを行い、気候変動とSDGsの取組のシナジーを発揮する上で、日本最大の基礎自治体として市民参加と国内外の都市間連携がいかに重要であるか、また、GREEN×EXPO 2027に向けて、山中市長のリーダーシップの下で進めるアジア地域のGX・脱炭素の推進に向けた本市の取組について紹介しました。

第2弾シナジーレポートでも循環型廃棄物管理といった需要サイドの気候変動対策の有効性が強調されましたが、特に新たな分別方法の導入による家庭ごみの削減やプラスチックリサイクルの促進によるCO2排出削減の取組を市内で進め、アジアの都市でも類似の取組が進むよう支援している本市の取組については、イベント参加者からも高い関心を寄せていただくことができました。

米州事務所長登壇の様子

引き続き、ニューヨークに拠点を構える米州事務所としては、気候変動とSDGsに関するグローバルな議論の進展に都市の観点から貢献するとともに、本市の国際社会におけるプレゼンス向上に繋げていきます。

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