北米特集記事

カンパニースポットライト: Airbuy Inc.

執筆者 | 2019年7月25日 | カンパニースポットライト, 特集記事

横浜を拠点に活動している、米国(MIT)発のスタートアップ “Airbuy Inc.”の池本健太郎さん(Mr. Kentaro Ikemoto)にインタビューしました。

 

– Airbuyのビジネスについてお聞かせください。

 

Airbuyは、世界中の旅行者向けに、空港や航空会社にサービスを提供するBtoBのスタートアップです。例えば、旅行者が日本に来るときに日本の商品やイベントなどのコンテンツをパーソナライズしてピンポイントでお届けします。第一ステップとして、免税店の販売チャネルを増やすような施策を世界中の航空会社や空港と組んで行おうとしています。免税店は、どんな人が何を購入したのかの履歴が大量に蓄積されています。免税店の国籍や年齢といった個人情報が秘匿化された購入データを活用することで、パーソナライズしやすいと考え、ここから切り込んでビジネスを立ち上げようとしています。次のステップは、ショッピング全般です。さらに旅行先で行われるイベント情報なども含めて、旅行者が体験するすべてのことをパーソナライズしてお届けできるようになりたいです。

 

観光客向けのドメスティックなサービスはあると思いますが、海外の航空会社や空港と組んでグローバルに最適化しようとしているサービスはまだないと思います。免税品でも、各国それぞれで免税店の売り上げを上げようというサービスはありますが、海外と連携したサービスはAirbuyだけだと思います。現在、日本市場では、「日本ユニシス」と組んで、免税品だけでなく観光コンテンツも提供していくことについて、主要な空港と航空会社と話を進めているところです。

 

– 日本市場をどのように見ていますか。

 

免税品が流行っているのはアジアです。例えば、成田空港の免税店の売り上げ一千億円くらいあります。これは世界でもトップ10に入ります。日本人である私がAirbuyのメンバーに入っていることで、日本市場で営業してみようということになりました。他のメンバーは、米国、シンガポール、インドで営業活動をしています。その中でも日本市場の開拓はうまく進んでいて、投資家からも評価してもらっています。

日本でビジネス開きたいと思っている人は多いようです。日本市場を押さえれば別の市場でも優位に立てることがあると思います。ただし、言葉や商習慣の違いが障壁となっているとよく聞くので、それらがクリアされると、ものすごい勢いで入ってくると思います。

 

– 拠点としての横浜はどうですか。

 

私は学生時代に横浜に住んでいたので横浜に愛着がありました。イノベーターの人たちとも自由な雰囲気で話すことができ、人間関係がぎすぎすしていません。横浜は他都市に比べて多様な人がいると思います。営業は東京の方がしやすいかもしれませんが、イノベーションを起こしたいという人が横浜には多くいます。横浜のWeWorkオーシャンゲートみなとみらいは広く、自由闊達なディスカッションがしやすい雰囲気です。WeWorkは、平日の12:30pm から9:00pmまで、無料でビールが飲めるのですが、WeWorkオーシャンゲートみなとみらいはビールの消費量も多いと聞きました。それは、会員同士がビールを飲みながら気軽にコミュニケーションが取れている証拠だと思います。このような開放的で寛容な雰囲気が横浜にはあります。

※撮影場所:WeWork オーシャンゲートみなとみらい

 

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