11月15日、スタートアップイベント「TechDay」が、ニューヨークの国際展示場ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで、3年ぶりにリアル開催された。会場には、金融、ファッション、メディア、ハード、バイオ、ヘルス、教育、ペットなど、ニューヨークらしい多種多様なテック企業が並び、カナダやブラジルなど、国外からの出展者も見られた。2019年に比べると規模を縮小しての開催となったが、およそ100者が出展し、投資家など多くの来場者がブースを回り、出展者の説明に耳を傾けていた。
ClearMix は Y Combinator が支援する、営業・マーケティングチーム向けのカスタマー・ビデオ・コンテンツ・プラットフォームを提供するニューヨーク発のスタートアップだ。15ヶ月前に立ち上げて以来、Googleやコーネル大学など196社の動画コンテンツ制作を支援している。フィラデルフィアを拠点とするExpressCellsは、製薬会社やバイオテクノロジー企業の委託サービスとして遺伝子編集を行う。米国内だけでなく欧州や日本で販路を開拓している最中だ。
2012年に始まったスタートアップイベント「TechDay」は、年々その規模を拡大し、世界最大級のスタートアップイベントの一つになるまでに成長した。ニューヨーク発のユニコーン企業であるZocDocやVia Transportationは、かつてTechDayに参加したスタートアップの一つだ。横浜市が出展した2019年には、出展数は300、来場者は2万人を超えた(文末の関連記事を参照)。しかしながら翌年、パンデミックにより開催が延期され、数か月の再準備期間を経てバーチャル形式での開催となった。2021年は、展示会のリアル開催が企画されるも、変異株の流行により、出展者・参加者が戻らず、開催は見送られた。
一方で、Startup Genome社やSartupBlink社による2022年のスタートアップエコシステムランキングで、ニューヨークは世界第二位にランクインしている。また、2021年には、ニューヨークから61のユニコーン企業(CB Insight)が誕生するなど、スタートアップ都市としての存在感は高まり続けている。主催者であるTechDay HQの代表者は「新型コロナウイルスは我々の業界にとって大きな打撃だった。今回のTechDayは再スタート。これからまた拡大していきたい」と、TechDayの拡大に強い意欲を示す。11月18日には、別会場でスタートアップの創業者とその経営幹部を対象にしたカンファレンス「TechDay Founders Summit」の開催がされる。創業者・経営者同士の学び・交流の場であるFounders Summitは、2020年からTechDayが新たに取り入れたフォーマットだ。世界が注目するニューヨークで、新しいチャレンジを続けるスタートアップイベント「TechDay」のさらなる進化が期待される。