フラットアイロン地区の名称は、ニューヨークのアイコニックビルの一つフラットアイロンビルに由来。フラットアイロンの真南にユニオンスクエア地域が位置しは14丁目を境にする。かつての工場や倉庫ビルだったオフィスはロフトスタイルの高い天井、大きな窓、壁や柱が少なく同じフロアにスタッフ皆が集まれる環境をテックのクリエイティブ層が好んだ。また歴史ある中層ビルが多く、例えば19 世紀に建てられたブロードウェイの旧ロード&テイラー(老舗百貨店)ビルのように外観に建設された当時のヨーロッパ風の装飾を残す。
フラットアイロン、ユニオンスクエア両エリアともテック企業のみならず、デザイン会社のようなクリエイティブ系、広告代理店などのオフィスもあり、感性が高く時代の先端を行く人達が集まることから高級からカジュアルまでお洒落なレストランが多く、5番街にはナイキ、ルルレモンなど人気店も出店している。毎日グリーンマーケットが開かれているグリーンマーケットは住民、ホワイトカラー/クリエイティブワーカー、観光客で賑わっている。
2018年のユニオンスクエア・コマーシャルマーケットレポートによると、ユニオンスクエア公園の周り、14丁目から23丁目のブロードウェイと5番街のリテイル店舗の年間賃料は1平方フィート当たり350―550ドル(1)。2019年11月に同地域のブロードウェイ沿い物件の賃料を問い合わせた際には1平方フィート700ドルの物件もあり、マンハッタンの中でもリテイル賃料の高い地域の一つである。2020年のオフィスの平均年間賃料はCoStar Dataによると1平方フィート当たり70.46ドル。自己のリサーチでは2020年3月のユニオンスクエアを臨むオフィスは90ドルを超えていた。その一方で通り沿いの物件は50ドル代と同じ地区でも立地により大きな差が出る。
フラットアイロン/ユニオンスクエアに立地する主なテック企業オフィス:
Compass、Zillow、Netflix、Yelpなど
※記載内容は、2021年3月31日時点の情報。
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【執筆者】
Miki-Hall Motegi / 茂木ホール美紀, Whitebox CRE Solutions, President.
神奈川県茅ヶ崎市生まれ。1990年にニューヨークに渡る。全日空ニューヨーク支店で北米予算とプロモーションを担当。第二子出産後に、日本政府観光局(JNTO)のニューヨーク支店で国際会議誘致を担当する。夫の仕事の関係で2011年から3年半を南麻布で過ごした後、2014年の夏にニューヨークに戻りミレニアル世代とジェンZの母親達のワークライフバランスの実現に向けての姿勢と葛藤、また仕事に対する考え方の変化などについて育った環境や人種も異なる母親達に取材をする。
2016年にIT企業やスタートアップをクライアントにもつ米系商業不動産リーシングファーム、ヴァイカスパートナーズに入りオフィス仲介業をする傍ら、商業不動産のランドスケープの変化からミレニアル世代の特徴と働き方への意識の変化を分析。JETRO IPA ニューヨーク主催の「ニューヨークスタートアップエコシステム」の日本セミナーでは、同市スタートアップエコシステムに関わる欧米人6人と共にスピーカーとして参加。その後もオフィス形態やデザイン、オフィス立地の変化などからミレニアル像を分析する講演を行う。2020年に1月にWhitebox CRE Solutionsを設立。イノベーションと空間をテーマに、コワーキングスペースやイノベーションハブのツアー、また商業不動産やプロップテック(プロパティーテクノロジー)の動向について講演や執筆を始める。新型コロナ禍でリモートワークが浸透する中、新たな日常での働き方とワークプレイスについて調査を続けている。現在ニューヨークのブルックリン地区に高校卒業前の息子と愛犬ブルックリン、そして夫と暮らす(長女は大学寮にいる)。