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【HLPF2024報告①】国連本部でSDGsレビューを実施するHLPF2024に米州事務所が参加

執筆者 | 2024年7月18日

7月8日(月)から17日(水)にかけて、米国・ニューヨークの国連本部において、2030アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)のフォローアップとレビューを目的とする「持続可能な開発目標に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が開催されました。

2012年から毎年開催されるHLPFには、各国の閣僚級を含むリーダーや、NGOなど市民社会の代表者が参加し、政治的リーダーシップや指針を提供し、あらゆるレベルにおいて全体的かつ横断的に、持続可能な開発の経済・社会・環境の側面の統合を強化するため、新たに発生する課題などが議論されています。

SDGsの進捗状況等に関する最新の議論の動向を探り、国連関連機関等とのネットワークを拡大するため、横浜市米州事務所としてもHLPFに参加しましたので、その内容について複数回に分けてレポートします。

HLPF2024オープニングセッション

 

7月8日(月)のHLPFオープニングでは、パウラ・ナルバエス国連経済社会理事会議長の挨拶ではじまり、今年は、「2030アジェンダの強化と複合危機の時代における貧困撲滅:持続可能で強靭かつ革新的な解決策を効果的に実施する(Reinforcing the 2030 Agenda and eradicating poverty in times of multiple crises: the effective delivery of sustainable, resilient and innovative solutions)」がテーマとして示されました。さらに、SDGsは統合的・不可分に相互連携して取り組む必要がありますが、中でも、目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標16「平和と公正をすべての人に」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」についてレビューを行うことと、すべてのゴールに共通して、若者や女性の参画を確保することの重要性も強調されました。

続いて、基調講演として、アミナ・モハメド 国連事務次長からは、持続可能な開発目標報告書2024において、SDGsのゴールのうちわずか17%しか達成又は順調に推移していないとの現状が指摘されていることを受けて、現状は「受け入れがたいもの(unacceptable)」ではあるが、HLPFでの議論を通じて、さらに今年9月にSDGs達成に向けた新たなグローバルコンセンサスの形成を目指して開催される未来サミットに対する期待が示されました。

SDGsの達成状況
また、カイラト・ウマロフ 経済社会理事会副議長(カザフスタン国連大使)からは、SDGsの達成に向けて、データ、科学、テクノロジー、イノベーションはエビデンスに基づく意思決定を行う上で不可欠であるだけでなく、開発途上国を含むすべての人々がデジタルとグリーン関連技術の恩恵を受けられる必要があると強調されました。

 

HLPF特別イベント:SDGs推進における都市の役割の重要性

例年、HLPFでは公式ミーティングのほかにも、特別イベントやサイドイベントなど多くの関連イベントが国連本部内あるいはその付近会場で開催されています。

7月10日には、自治体や地域コミュニティなどSDGsをローカルで実践することをサポートするLocal2030が主催する特別ハイレベルイベント「Local2030Coalition; Unlocking transformative change through the localization of the six SDG transitions」が開催され、SDGs推進における都市の役割が議論されました。

ワークショップの様子
イベント冒頭、ミハル・ムリナール 国連事務次長補兼国連ハビタット事務局長代行から、昨年9月に打ち上げられたSDGsローカリゼーションに関するハイインパクトイニシアチブ(HII)において、①食糧システム、②エネルギーアクセスと適正価格化、③デジタルコネクティビティ、④教育とスキル、⑤仕事と社会保護、⑥気候変動・生物多様性の喪失・環境汚染の領域で重要な変革を起こすことがSDGs達成を実現する上で必要不可欠であることが述べられました。続いて、UNハビタットがSDGsシティに関するプログラムや、EUなどの地域機関との連携、研究評価ツールの整備などSDGsのローカライゼーションに必要な取組に力を入れていることが紹介されました。

次に、国連機関や大学等の代表者に続いて、地方の声としてスペインのビルバオ市長が登壇し、SDGsのローカライゼーションにおいては、自治体が地域のリアリティに合わせるため、どうニーズを特定していくか、そのための市民や地域団体との水平的連携や、中央政府との垂直的連携を機能させていくこと、中でもそのプロセスにおいて多様性が確保されることが重要であるとのメッセージが強調して述べられました。

ワークショップの様子
SDGs達成における都市・地域の役割の重要性については、7月11日(木)の「2024 Local and Regional Governments Forum (LRGF)」においても継続して議論されました。これは、UN DESA, Global Taskforce of Local and Regional Governments (GTF), UN-Habitat, UNDP,Local 2030 Coalitionが主催する特別イベントで、今年で7回目の開催になります。

飢餓や貧困の僕別と社会包摂に関する地域の公共サービスの役割、マルチレベルによる気候変動対策のためのパートナーシップ、平和と紛争予防の基礎としての地域社会の役割等をテーマとして、それぞれセネガルのダガナ県知事、米国ニュージャージー州のホーボーケン市長、パレスチナのラマッラー市長をはじめ地域代表が「VLR(自発的自治体レビュー)」をはじめ、SDGsを実施する上で、どのように効果的なローカリゼーションを図っているかについて紹介されました。

HLPFにおけるSDGs実践における都市や地域の役割の重要性については、今年9月の未来サミットや2025年の世界社会サミット(World Social Summit)にも引き継がれていきます。

米州事務所としても引き続き、注目して議論の動向を注視し、グローバルレベルでの最新の状況をニューヨークから横浜に発信していきます。

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