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ShibuLAが日本進出先として横浜を選んだ理由

執筆者 | 2026年Aug18日

米国企業の日本市場への関心は高まり続けていますが、日本市場への進出を成功させるには、単に会社を設立するだけではなく、地域のネットワークを構築し、ビジネス環境を理解し、適切なパートナーを見つけることが重要です。

ShibuLA Venturesは、ロサンゼルスとニューヨークを拠点とするベンチャースタジオ兼クロスボーダー案件創出・アドバイザリー会社で、最近、横浜にオフィスを設立しました。この記事では、なぜ同社が横浜を選んだのか、どのような課題に直面し、横浜の支援エコシステムはその過程でどのように役立ったのでしょうかを取り上げます。

ShibuLA Venturesの共同創業者兼CEOである二宮ケビン氏に、同社の日本進出までの歩みと、横浜で拠点を築いた経験について詳しく伺いました。

横浜とのつながりを作ったもの

ShibuLAと横浜とのつながりは、今回の進出から始まったわけではありません。同社はすでに約2年間、横浜市と連携してきました。しかし、そもそも両者を結び付けたのは、特定のプロジェクトやイベントではありません。むしろ、スタートアップ、投資家、企業、大学、公共部門の組織を国境を越えて意義ある形でつなぐ、という共通の使命でした。

この2年間で、両者の連携は、実践的なスタートアップ支援と、より広範なエコシステム形成の取組の両面で発展してきました。一方では、横浜マッチングプログラムなどの取組で協力し、スタートアップによるつながりの構築や、国境を越えた機会の探索を支援してきました。他方では、New York Tech WeekやClimate Week NYCといった大規模な集まりに関連して、イベント、ウェビナーポッドキャスト、各種プログラムで連携し、日本と米国双方の創業者、投資家、企業、大学、公共部門の組織を結び付けてきました。

横浜市とShibuLA Venturesが共同開催したウェビナー(2024年)
注:本写真は過去のイベントで撮影されたものです。写真に示されている所属等は撮影当時のものであり、現在は変更されている場合があります。また、写真内に掲載されている企業名・ロゴは、関係者や当時の状況を示す目的で使用しているものであり、当該企業または個人が本記事を推奨・支持していることを示すものではありません。

「当初から、横浜市とShibuLAは共通の使命を持っていました。私たちはともに、日本と米国のイノベーション・エコシステムをつなぎ、それらのエコシステムを発展させる人々を結び付けることが重要だと考えています。横浜は、国際的な視点を持つ日本第2の都市であるだけでなく、ニューヨークに独自の拠点を持つという点でも、地方自治体としてユニークな立場にあります。

米国のイノベーション・エコシステムでは、日本のエコシステムと同様に、信頼に基づく対面での関係が不可欠です。私たちにとって特に印象的だったのは、横浜が長期にわたり、そうした関係を築き、異なるエコシステムの人々をつなぐことに取り組んでいる点でした。この共通の考え方が、最初に私たちを結び付け、最終的に連携へとつながりました。」

横浜が適している理由とは?

連携が発展するにつれ、ShibuLAは、日本と米国の架け橋としての横浜独自の強みをより深く理解するようになりました。幅広いネットワーク、エコシステム形成への長期的な取組、そして分野を越えて関係者をつなぐ力を通じて、横浜は、国境を越えた意義ある関係や機会を生み出す独自の力を示しました。海外企業が日本進出を検討する際、東京が最初の候補となることが多い一方で、ShibuLA Venturesは横浜ならではの利点を見いだしました。

「横浜は非常にユニークな都市です」とKevin氏は説明します。「東京圏へのアクセスが良い一方で、気取らず、手頃で、暮らしやすい環境があります。」

横浜は、東京都心と羽田空港の双方から電車でわずか30分の場所にあり、首都圏やそのビジネス・エコシステムへのアクセスを確保しながら、独自の個性と利点も備えています。海外企業にとって、横浜は、大企業、投資家、交通ネットワークへの近接性と、落ち着いて暮らしやすい環境を兼ね備えています。

横浜は以前からShibuLAのチームにとって馴染みのある都市でしたが、Kevin氏は、ライフサイエンス、クライメートテクノロジー、半導体、モビリティ、先端製造を含む幅広いディープテック分野を中心に、国際的なイノベーション・エコシステムが成長している都市としての横浜の評価を、ここに拠点を構えることを決めた主な理由の一つとして挙げています。また、横浜は日本国内で、トレンディで国際志向の場所としての評価を築いているとも述べます。

ShibuLA Venturesと横浜市米州事務所の共催イベント(TECH WEEK NYC、2025年6月)

日本進出:ローカルな支援の力

初めて日本に進出する多くの海外企業と同様に、ShibuLA Venturesも、現地に拠点を設けるには、さまざまな法務、行政、事業運営上の手続に対応する必要があることをすぐに認識しました。

「私たちのチームには、以前に日本で事業拠点を設立するプロセスを経験した人もいましたが、それでも当初想定していた以上に複雑でした。このプロセスでは、支援してくれる地域のさまざまなパートナーとのつながりを確保することで、多くの時間を節約できます。弁護士、銀行、オフィススペース、そのほか当地でのあらゆるつながりが、こうした初期段階におけるスタートアップの負担を軽減するうえで、それぞれ大きな違いを生みます。」

Kevin氏は、まさにこの点で横浜の支援ネットワークが大きな違いを生んだと述べています。拠点設立のプロセスを通じて、ShibuLAは、横浜のビジネス・エコシステム内での紹介により、神奈川県や、国際ビジネスと外国投資を支援する日本の政府機関であるJETRO(日本貿易振興機構)などのパートナーを含む、法務、金融、専門サービスの幅広い提供者にアクセスすることができました。

適切な関係先を独自に探すために貴重な時間を費やす代わりに、ShibuLA Venturesは、海外企業の拠点設立を支援した経験があり、日本のビジネス環境と海外企業特有のニーズの双方を理解している専門家と直接関わることができました。

「横浜で特にユニークだったのは、地域の支援ネットワークの強さです。横浜市米州事務所を通じて、行政書士、司法書士、会計士、税理士、社会保険労務士、その他のサービス提供者を含む、幅広い専門家を紹介していただきました。いくつかのケースでは、そうした紹介が直接契約につながりました。また、契約に至らなかった場合でも、対話を通じて有益な視点を得ることができ、プロセス全体を通じてより良い判断をする助けになりました。

プロセスの中でも特に難しかったことの一つが、銀行口座の開設でした。私たちはJETROを通じて、日本有数の地方銀行である横浜銀行を紹介していただきました。また、手続の間、横浜銀行ニューヨーク駐在員事務所と横浜市米州事務所が、日本側で何が起きているのかを把握できるよう支援してくれました。何より、横浜銀行は海外ビジネスへの理解が深く、とても親切で、助けになりました。」

他の海外スタートアップに向けて

今回の経験を振り返り、Kevin氏は、日本への移転や事業拡大を検討している海外企業は、こうした地域のつながりがどれほど大きな価値を持つかを認識すべきだと強調しました。

オンライン上の情報や調査によって企業は基本的なことを理解できますが、日本独自のエコシステムをすでに熟知している専門家から得られる助言には、計り知れない価値があると同氏は考えています。

「自分自身で調査することは大切ですが、絶対にすべてを自分たちだけでやろうとしないでください」とKevin氏はアドバイスします。「横浜のイノベーション・エコシステムを通じてアクセスできる人や組織は数多くあります。こうしたつながりを見つけ、活用することで、時間を節約できます。」

ShibuLAの経験は、横浜の最も特徴的な点の一つを示しています。それは、日本で2番目に大きな大都市圏としての規模、国際的なつながり、機会と、緊密につながった地域コミュニティならではのアクセスのしやすさや支援を兼ね備えていることです。

その規模にもかかわらず、横浜には、地方自治体、金融機関、専門サービス提供者、エコシステムのパートナーが緊密に連携し、海外企業を支援する環境があります。この国際的な広がりと地域の支援の組み合わせこそが、日本に進出する海外企業にとって、横浜を他にはない魅力的な進出先にしています。

Kevin Ninomiya, Co-Founder and CEO of ShibuLA Ventures

日本のゲートウェイとしての横浜

ShibuLA Venturesにとって、横浜に拠点を設けることは、単に市内にオフィスを開設する以上の意味を持っています。同社にとって横浜は、日本各地、さらには東アジアの他地域へと活動を広げていくための入口であり、足掛かりとなっています。

横浜が、グローバルスタートアップ、エコシステム・ビルダー、その他のイノベーションを重視する組織の進出先としての役割を拡大し続ける中、ShibuLA Venturesの経験は、日本市場へのゲートウェイとして横浜を選ぶ海外企業が増えている理由を示しています。

「私たちにとって、横浜は単にオフィスを開設する場所ではありませんでした。太平洋を越えてイノベーション・エコシステムをつなぐ、より大きな取組の一員になるということでした。

最も意義ある成果が、紹介件数やイベント数だけに表れることはほとんどありません。それらは、起業家、投資家、企業、大学、公共部門の組織の間で、時間をかけて築かれる信頼関係から生まれます。そうしたつながりをつくり、維持することこそ、横浜市や横浜市米州事務所のような組織が長期的な影響をもたらすことのできる部分です。

私たちが活動をさらに拡大し、将来の投資イニシアティブを検討していく中で、最大の機会は、特定の一企業からではなく、エコシステム全体を結び付けるネットワークや関係性から生まれると考えています。」

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