北米スマートシティ

優れたスマートシティを構築するために、世界各都市の市政府はデジタルテクノロジー、ナレッジ、資産を効率的に都市開発計画に組み込む方法を模索している。こうした取り組みを支援するために作成されたのが、「世界スマートシティガバメント・トップ50(TOP 50 SMART CITY GOVERNMENT RANKINGS IN THE WORLD)」である。この報告書は、シンガポールのビジネスシステムイノベーションに特化したコンサルティング会社Eden Strategy Instituteとインフラ系コンサルティング会社ONG&ONGのデザインコンサルティング部門OXDが共同作成したもので、スマートシティ戦略策定に関する世界140市政府の役割を調査し、上位50都市を紹介している。ランキング付けの指標は、戦略ビジョン、リーダーシップ、予算、民間投資インセンティブ、民間セクター参加サポートプログラム、スマートテクノロジー系人材育成プログラムなど10項目があり、各項目5点満点の合計で順位が決まっている。

スマートシティ上位10都市
スマートシティ上位10都市マップ

 

2018年/2019年版の上位10都市は以下の通り。

順位 都市 点数(50点満点)
1 ロンドン 33.5
2 シンガポール 32.3
3 ソウル 31.4
4 ニューヨーク 31.3
5 ヘルシンキ 31.2
6 モントリオール 30.1
7 ボストン 29.6
8 メルボルン 29.5
9 バルセロナ 29.4
10 上海 29.2
今回はこのなかから、北米都市で上位にランクインした、ニューヨーク(4位)、モントリオール(6位)、ボストン(7位)のスマートシティ開発動向を、最新状況を交えて取り上げる。各都市のスマートシティ関連の取り組みや実績は以下の通り。
都市 取り組みの概要・実績
ニューヨーク

ニューヨーク市の都市が抱える問題を解決するための取り組みとしてNYCx Co-Labsが知られる。このイニシアチブは、もともとNeighborhood Innovation Labsと呼ばれていたが、2015年のオバマ政権による「スマートシティイニシアチブ」で紹介され、全米に知られることとなった。ニューヨーク市長室の最高技術責任者(MOCTO)とNYC経済開発局(NYCEDC)のパートナーシップをベースとしている。同プログラムでは、政府、地元の非営利団体、テクノロジー企業、財団などの一連のパートナーをさまざまなイベント(Civic Tech Competition (1))、ワークショップ、コミュニティスペースを通じて結集し、都市生活を改善できる新テクノロジーの研究開発を加速させることを目指している(2)。

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モントリオール

カナダ政府によるSmart City Challenge受賞都市(課題解決型提案 (3))である。モントリオール市は2018年5月にMontreal Urban Innovation Labを設立しており、21世紀の都市の課題解決を目的に様々な分野から生まれる革新的なソリューション開発を促進およびサポートしている(4)。現在進行中のプロジェクトには、自動運転、流通・調達、IoT/5G、オープンデータなどが含まれている(5)。

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ボストン

ボストンは、全米で最も早くISO 37120認定を受けた(6)。ボストン市は、課題を抱えているコミュニティと、手を差し伸べることができる可能性のある企業、研究者、デザイナー、アーティストとの間に、より有意義な関係を構築するための新しい市民実験プロセスを生み出すイニシアチブBeta Blocksを進めている(7)。同イニシアチブの一環として、技術企業に対して、スマートシティ実現に貢献できる各社の技術に関する情報提供を求め、それに応じた100社以上の企業の提案が、GoogleDriveで公開されている(8)。また、自動運転、スマート・ストリート、ロボット関連の実証実験にも取り組んでいる。

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