北米COVID-19情報

COVID-19 Update #5・Facts and Data

執筆者 | 2020年5月16日

5月15日、NY州も北部で一部地域が再開した。
再開地域では、例えば、小売店でまだ買物はできないが、あらかじめ頼んでおいたものを受け取ることができる。ガーデンセンター、建設業、製造業などが再開可能になった。やっと漕ぎつけた経済社会活動再開の第一段である。

クオモNY州知事は、COVID-19の対策にあたって Facts and Data を一貫して重視してきた。毎日の記者会見は、冒頭に前日の総入院者数、前日一日あたりの新規入院者数と死亡者数を説明し、その増減を確認することから始まる。
今回の再開計画 “New York Forward” も、もちろん Facts and Data を指標として進んでいる。地域ごとにクリアしなければならない ”7つの基準” である。

  1. 総入院者数が14日連続で減少、または直前3日の平均で15人未満
  2. 一日の死亡者数が14日連続で減少、または直前3日の平均で5人未満
  3. 一日の入院者数が直前3日の平均で10万人あたり2人未満
  4. 空き病床が最低3割
  5. ICUの空き病床が最低3割
  6. 一日の月一回検査数が直前7日の平均で千人あたり30人
  7. 接触追跡人員を10万人あたり30人、または感染率に基づき確保

4月の失業率が14.7%と、経験したことのない領域にまで至り、経済の回復に大きな期待がかかる一方、NY州では、まだ毎日2,000件以上の感染が確認されているし、死亡者は減少が続いているとはいえ、5月16日には139人、その内NY市では69人が今なお一日で亡くなっている。クオモ知事は、また、第2波を抑えるため、再開後に、一人の感染者が移す平均人数「実効再生産数」が1.1を越えたら、再開を停止することにも言及している。期待が高まるなか ”New York Forward” を確実に進めていくためにこそ、Facts and Data を注視し続けることが不可欠であろう。

NY市域については、”7つの基準” のうち現時点で3つしかクリアしていないため、Stay-at-Home を求める行政命令 “New York State on Pause” が5月28日まで延長された。
だが、出口はもうそこに見えている !

machts

 

参考

横浜市では、市内企業・団体等の皆様にお役立ていただくため、感染が世界的な拡大の兆しを見せた2020(令和2)年2月から、フランクフルト、上海、ムンバイ、ニューヨークに所在する4つの事務所が、それぞれの所在地域における新型コロナウイルス感染症に関する情報を独自に収集し、神奈川新聞及び各事務所のウェブサイトで発信してきました。

そのような、まさに現地に駐在している職員だからこそ可能な、現地における市民生活への影響、経済活動の動向、感染症対策などに関する情報発信は約1年間に渡り、57件を数えました。このたび、それらを「コロナ禍の世界 記録集」として一冊にまとめ、改めてお届けします。

コロナ禍の世界 記録集(2020~2021年)27.57MB

 

関連ページ

北米最新COVID-19情報

COVID-19 Public Policies #5 パンデミック下でのニューヨーク市の政策立案の内側

COVID-19 Public Policies #5 パンデミック下でのニューヨーク市の政策立案の内側

新型コロナウイルスの感染がニューヨークで初めて確認されてから1年が経つ。2021年2月18日に、感染拡大期当時の政策立案の内側について、ニューヨーク市の政策法務の実務者による話を聞く機会があった。この機会は、ニューヨーク市市長室国際担当主催の「COVID-19パンデミック対処への政策立案(Utili...

COVID-19 Update #13・ともし続ける希望の灯

COVID-19 Update #13・ともし続ける希望の灯

2020年12月2日 水曜日曜日 神奈川新聞掲載 執筆 関山誠 米国内の感染ペースが再び加速している。1日当たりの新規感染者は一時20万人に迫り、これまでの死亡者数は25万人を超えた。世界最悪が止まらない。...

COVID-19 Update #11・日常の回復へ忍耐の時

COVID-19 Update #11・日常の回復へ忍耐の時

2020年10月1日 木曜日 神奈川新聞掲載 執筆 関山誠 「Patience(忍耐)」を、カーネギーホールは呼び掛けている。 ホールを象徴するジョークがある。高名な音楽家がホールへの道順を聞かれ、「Practice(練習)」と返す。音楽界最高の舞台に挑む道筋を明かしたというオチだ。Patien...

Yokohama Innovation Night~グローバル・スタートアップとの協業の成功と失敗から学ぶ~が開催されました!

Yokohama Innovation Night~グローバル・スタートアップとの協業の成功と失敗から学ぶ~が開催されました!

横浜市では、グローバル企業の R&Dや技術者の集積といった横浜の強みを生かし、Clean Tech やモビリティをはじめとするテック系分野でのユニコーン・クラスのスタートアップ創出を目指し、グローバルを目指すテック系スタートアップに特化した支援拠点として、2024年11月11日にTECH HUB...

北米スタートアップ本場のピッチを見ながら学ぶ、協働に向けた対話のヒント ~海外とのオープンイノベーション促進に向けたセミナー企画・第2弾~

北米スタートアップ本場のピッチを見ながら学ぶ、協働に向けた対話のヒント ~海外とのオープンイノベーション促進に向けたセミナー企画・第2弾~

北米地域は世界ベンチャー投資のうち8割以上が集まるイノベーションの中心で、近年益々多くの日本企業が、最先端の技術・サービスを生み出す多くのスタートアップと連携・協業を図り、自社の新たなビジネス創出に向けて活動しています。北米スタートアップとの協業・オープンイノベーションを成功させるには、単なる言語の...

横浜・LINK-J ライフサイエンス・ラウンジ@NYC第7回セミナー 2024年を振り返る、米国ライフサイエンス市場の最新動向と2025年の展望

横浜・LINK-J ライフサイエンス・ラウンジ@NYC第7回セミナー 2024年を振り返る、米国ライフサイエンス市場の最新動向と2025年の展望

横浜市米州事務所と LINK-Jとの連携による「横浜・LINK-Jライフサイエンス・ラウンジ@NYC」として、2022年12月の第1回セミナーから米国ライスサイエンス市場に関する現地の最新情報をお届けしております。第7回セミナーでは、NYCを拠点に活動する横浜市ライフサイエンスサポーターである栄木憲和氏及び武田秀俊氏に加え、ニューヨーク拠点の調査・コンサルティング会社のクリス・ビックリー氏をお招きし、米国ライフサイエンス市場の1年間を振り返り、米国大統領選挙後となる2025年の展望についてお届けします。

Yokohama Innovation Night開催 ~グローバル・スタートアップとの協業の成功と失敗から学ぶ~(11/18)

Yokohama Innovation Night開催 ~グローバル・スタートアップとの協業の成功と失敗から学ぶ~(11/18)

海外スタートアップとのオープンイノベーションに取り組む、又は関心のある日本企業の皆様などを対象にしたセミナーイベントを開催します。日本企業・海外スタートアップ両方の視点から、海外のスタートアップとの連携におけるヒントや失敗例、海外の最新情報やグローバルな協業をする際のコツなどについて取り上げ、セミナー後にはネットワーキングも実施します。海外のスタートアップとの連携や海外のイノベーションの動向に興味・関心のある皆様のご参加をお待ちしています。