2020年10月1日 木曜日 神奈川新聞掲載
執筆 関山誠

「忍耐、忍耐、忍耐」。そう呼び掛けるカーネギーホール玄関前に張り出されたポスター。9月11日、マンハッタン

「Patience(忍耐)」を、カーネギーホールは呼び掛けている。
ホールを象徴するジョークがある。高名な音楽家がホールへの道順を聞かれ、「Practice(練習)」と返す。音楽界最高の舞台に挑む道筋を明かしたというオチだ。Patien

ceはジョークの自前のパロディーで、現状へのメッセージとしてもふさわしい。
9月の新学年スタートから年末のホリデーシーズンにかけ、普段なら人も街も心躍る時期だ。今年は大統領選挙もある。11月をヤマ場に活気を帯びる季節だが、この先も当分、これまでと同様、忍耐が必要だ。
「ニューヨークは終わった」とささやかれ始めた。同市に本社を置くデパート「センチュリー21」が経営破綻した。在宅勤務の長期化が見込まれ、マンハッタンから郊外への人の流出が止まらない。市警察が市民に安全対策を緊急告知するほど、銃発砲や殺人などの犯罪が急増した。
その一方、ゆっくりだが着実に回復してもいる。ショッピングモールは入場規制を50%に緩和して営業を始めた。レストランも25%の入店制限に加え、利用者に検温、連絡先提出、マスク着用を義務付けて再開した。美術館、博物館は順次、開館。公立学校も対面とオンラインでの授業を組み合わせて新学年を迎えた。
「ニューヨーカーは立ち直りが早く、タフだ。ニューヨークは終わってはいない。必ず、さらに強靭に、回復する」。州知事はそう言う。今はそれまで、忍耐の時だ。

 

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