2020年6月24日 水曜日 神奈川新聞掲載
執筆者 関山誠
6月8日、米ニューヨークでも経済社会活動が再開した。3月22日から続くロックダウンの解除が段階的に進む。
市民はこの間、州の行政命令の下、▽食料品・必需品の買い物や通院以外は外出を控える▽外出時は他者と1.8メートルの距離を保つ▽外出時はマスクなど顔を覆うものを着用する▽手洗いと消毒を徹底する―の四つを忠実に守って感染防止に協力した。
感染がピークの頃、私も外出は5日に1度の買い物のみ。スーパーマーケット前では1.8メートルの間隔を保って並び、入場を待つ。マスクを必ず着用し、帰宅後すぐにシャワーを浴び、着衣は洗濯した。決して行き過ぎではない、新たな日常だと今は思っている。
州や市も市民の行動を促した。一時の安らぎを求めて多くの人が週末の公園などを訪れるが、当初マスクをしていない姿が目立った。州知事はマスクをすることは責任ある行動だと繰り返し訴え、市長は1.8㍍の距離を保ってジョギングなどがしやすいよう、市内の道路の車両通行を止め、市民に開放した。
米国の人々の危機下での結束の強さを、日々切実に感じている。一人一人は責任ある行動を取り、みんなで医療従事者やフロントラインの人々を支える。「7PM THANK YOU」。毎日午後7時になると、窓を開けて拍手をし、ドライバーは警笛を鳴らし、声援と感謝を贈る。危機下の結束は、今なお緩むことはない。
(写真説明)100メートル先のスーパーマーケットの入り口まで1.8㍍の間隔を保って整然と並ぶ買い物客=5日、ニューヨーク•コロンバスサークル
参考
横浜市では、市内企業・団体等の皆様にお役立ていただくため、感染が世界的な拡大の兆しを見せた2020(令和2)年2月から、フランクフルト、上海、ムンバイ、ニューヨークに所在する4つの事務所が、それぞれの所在地域における新型コロナウイルス感染症に関する情報を独自に収集し、神奈川新聞及び各事務所のウェブサイトで発信してきました。
そのような、まさに現地に駐在している職員だからこそ可能な、現地における市民生活への影響、経済活動の動向、感染症対策などに関する情報発信は約1年間に渡り、57件を数えました。このたび、それらを「コロナ禍の世界 記録集」として一冊にまとめ、改めてお届けします。
コロナ禍の世界 記録集(2020~2021年)27.57MB