2020年10月29日 木曜日 神奈川新聞掲載
執筆 関山誠
「COVID(新型コロナウイルス感染症)との闘いの間、彼らは日々フロントライン(前線)に立ち、自らの命を危険にさらして私たちを守り抜いた」。ニューヨーク州のクオモ知事は9月の労働祭に寄せて、医療、食料品販売、警察、消防などコロナ禍で献身的に働いた人たちへ賛辞を贈るとともに、彼らへの信頼を改めて思い起こさせた。
知事はまた、「ハロウィーンは止めない。留意点を用意しよう」と提案した。州内の陽性率は現在、全米最低水準にあるが、密を避けがたい感謝祭のパレードや大みそかのカウントダウンはバーチャル(仮想)で行われる。そんな中、ソーシャル・ディスタンス、マスク、手洗いなど日常のルールを守れば、身近な“トリック・オア・トリート”はできる、という提案だ。一人一人の責任ある行動とコミュニティーの信頼の絆が、今年新しいハロウィーンを創り出す。
警官の蛮行があらわになったジョージ・フロイドさんの事件以来、警察への信頼を回復できるかが問われている。警察改革を訴える声は大きい。ロックダウン(都市封鎖)の時、命の危険を冒して献身的に職務に当たった彼らは、間違いなくコミュニテイーの信頼を得ていた。ニューヨーク州は一番に警察改革の行動を起こした。犯罪が急増し、治安の悪化が懸念される中、警察はコミュニテイーとより強い信頼の絆を築こうとしているはずだ。
「Ever Upward=絶え間ない向上」。ニューヨーク州のモットーがいま、力強く響いてくる。
【写真キャプション】警察改革を求めるプラカードが掲げられた集会=10月17日、マンハッタンのコロンバスサークル
参考
横浜市では、市内企業・団体等の皆様にお役立ていただくため、感染が世界的な拡大の兆しを見せた2020(令和2)年2月から、フランクフルト、上海、ムンバイ、ニューヨークに所在する4つの事務所が、それぞれの所在地域における新型コロナウイルス感染症に関する情報を独自に収集し、神奈川新聞及び各事務所のウェブサイトで発信してきました。
そのような、まさに現地に駐在している職員だからこそ可能な、現地における市民生活への影響、経済活動の動向、感染症対策などに関する情報発信は約1年間に渡り、57件を数えました。このたび、それらを「コロナ禍の世界 記録集」として一冊にまとめ、改めてお届けします。
コロナ禍の世界 記録集(2020~2021年)27.57MB