横浜市米州事務所と 一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)との連携による「横浜・LINK-Jライフサイエンス・ラウンジ@NYC」では、米国ライフサイエンス・ビジネスに関する最新情報を米国からライブ配信でお届けしています。現地時間2023年3月2日、米国の医薬品サプライチェーンをテーマに、同ラウンジ第二回セミナーを開催しました。米国のサプライチェーンは日本とは異なる米国特有の仕組みがいくつも存在します。通訳なしの英語によるセミナーでしたが、現地から会場参加の他、オンラインで268名の登録があり、米国のエキスパートによる生の情報への関心の高さが伺えました。
基調講演:米国の医薬品サプライチェーン
冒頭、横浜市米州事務所の谷澤副所長から横浜市のライフイノベーション支援の取組と「横浜・LINK-Jライフサイエンス・ラウンジ」の紹介があり、講演パートでは、NS Pharma, Inc.で Supply Chain Directorのスティーブン・プロジャンスキー氏が、米国の医薬品サプライチェーンの現状について解説しました。プロジェンスキー氏は、米国と日本での保険償還や薬価の仕組みの違い、米国医薬品産業のトランスフォーメーション、業界の垂直統合の傾向に触れつつ、米国の医薬品のディストリビューションや償還の仕組み、サプライチェーンにおける主なプレーヤー、収益や保険の構造などに触れ、米国の複雑なサプライチェーンを包括的に分かりやすく説明されました。講演の最初と最後に、次の4つのキーメッセージ(①正しい参入モデル(を選ぶこと)、②米国市場の複雑性(でもすべて完ぺきに理解する必要はない)、③投資(米国での成功のために投資をすべき)、④成功(米国エキスパートが助けになる))を強調されました。
ディスカッション・Q&A
ディスカッション・Q&Aパートでは、シミックホールディングスCEO補佐の武田秀俊氏がモデレーターを務め、プロジャンスキー氏の他、元バイエル薬品取締役会長の栄木憲和氏とLINK-J事務局長の高橋俊一氏がパネリストとして参加し、前段の講演内容を基に、米国の医薬品サプライチェーンについて深堀、展開しました。栄木氏からはインフレ抑制法(IRA法)の米国の医薬品サプライチェーンのプレーヤーへの影響に関する質問があり、プロジャンスキー氏は患者とメーカーそれぞれの視点からの影響を回答されました。高橋氏からは、ペイヤーの統合によって、患者にとって薬の選択肢が減る可能性について質問があり、プロジャンスキー氏は業界統合の患者にとっての正と負両方の側面について説明されました。このほか、今後の米国の医薬品サプライチェーンの展望、大統領選挙におけるヘルスケアの主要論点、高額な薬価などの背景の中でいかに患者が薬にアクセスできるかなど、パネリストや会場参加者からの質問や問題提起に、米国の現状を織り交ぜながらプロジャンスキー氏の見解が述べられました。
スティーブン・プロジャンスキー氏の講演とディスカッション・Q&Aは下記アーカイブ動画からご覧いただけます。(定期間経過後非公開に変更する可能性がございます。)