横浜市米州事務所は、2026年6月1日(月)、New York Tech Weekの期間中に、米国Baker & McKenzie LLPを会場として、クライメート及びディープテック分野における日米交流イベントJapan Gateway for Climate & Deep Techを開催した。本イベントはGreennex Global、ShibuLA Ventures、Deep Tech Forumの協力の下、横浜市米州事務所の主催により、Baker & McKenzie LLPとITO EN(North America)のスポンサーを得て実施された。
当日は150名が参加し、うち投資家及びベンチャーキャピタルが30社以上、日本企業が15社以上にのぼり、クライメート及びディープテック分野で日米双方の現場を牽引するキーパーソンが一堂に会した。スタートアップ、投資家、大手企業、行政機関等、異なる立場から日米連携の推進に携わる関係者が集い、活発な交流が行われた。
イベント会場からのマンハッタン眺望
日米クライメート・ディープテック関連の企業等150名が参加
イベント冒頭、Baker & McKenzieのSkip Rankin氏による歓迎挨拶及び在ニューヨーク日本国総領事館経済部長の山本氏による開会挨拶に続き、ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)のクライメート・イノベーション及び産業開発部門バイスプレジデントであるNicole Spina氏による「How NYC is Building the Next Climate Tech Hubs(ニューヨーク市が次世代クライメートテック拠点をどのように構築しているか)」と題した基調講演を行われた
同講演では、ニューヨーク市の「グリーンエコノミー・アクションプラン」の概要や、ブルックリンで整備が進むクライメート・イノベーション拠点、及び海外企業向けの事業展開支援サービスについて紹介された。
Baker & McKenzieのSkip Rankin氏による歓迎挨拶
在ニューヨーク日本国総領事館による開会挨拶
ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)による基調講演
その後、二つのファイヤーサイドチャットが実施された。
一つ目は「Where to Scale Next: U.S.-Japan Investor Perspectives on Climate & Deep Tech(次にどこでスケールするか:クライメート及びディープテックにおける日米投資家の視点)」と題し、ShibuLA VenturesのCEO兼共同創業者であるKevin M. Ninomiya氏がモデレーターを務めた。パネリストには、JERA Americasの柴本真実氏、NYSERDA(ニューヨーク州エネルギー研究開発機構)のイノベーション・パートナーシップ担当アソシエイトディレクターであるRichard Bourgeois氏、Decarbonization Partnersの投資チームプリンシパルであるRaluca Florea氏が登壇した。本セッションでは、AIによるエネルギー需要拡大が投資動向に与える影響や、日本企業がスタートアップとの協業において重視する点(用途の明確化、長期的な協業姿勢、実装に向けた準備等)、及びパイロット段階から商業化に至る過程での課題について議論が行われた。
ファイヤサイドチャット1
二つ目のファイヤーサイドチャットは「The Manufacturing Backbone of Climate Innovation: Scaling Deep Tech Through Industry(クライメートイノベーションを支える製造業:産業を通じたディープテックのスケール)」と題し、Monozukuri VenturesのパートナーであるSabrina Sasaki氏がモデレーターを務めた。Frankenbuild Venturesの創業者兼ゼネラルパートナーであるCvic Innocent氏、American Manufacturing Futures Instituteの代表兼CEOであるStacey Weismiller氏が登壇した。本セッションでは、製造業がクライメートイノベーションの実用化を支える基盤であるという観点から、地域や都市レベルでの産業戦略の重要性、人材育成における課題、及び日米間の製造業分野での連携可能性について議論が行われた。
ファイヤサイドチャット2
続くピッチセッションでは、Greennex Globalの創業者であるStella Yuhang Song氏の進行のもと、下記6社のスタートアップが登壇し、各社の技術と事業展開について、参加した日本企業や現地投資家向けにピッチを行った。
Greennex Globalによるピッチ企業の紹介
| 企業名 | 分野 | 概要 |
|---|---|---|
| Realta Fusion | 核融合エネルギー | 大学発のスピンオフ企業で、産業規模での実用化を目指したモジュール式磁気ミラー型核融合システムを開発。閉じ込めたプラズマにおいて17テスラの磁場という世界記録を達成しており、3,600万米ドルのシリーズAおよび米国エネルギー省の核融合プログラムによる支援を受けている。 |
| Evrnu | 循環型繊維素材 | 使用済み綿繊維から、品質を損なわずに複数回リサイクル可能な再生リヨセル繊維を商業化。世界的なアパレルブランドから3億3,000万米ドル超の購入確約を獲得している。 |
| mimic systems | 次世代ヒートポンプ | 冷媒や可動部を使用しない固体素子型ヒートポンプを開発し、先進的な熱電技術によりHVAC(空調設備)のエネルギー消費及び排出量の大幅な削減を目指す。 |
| FAST Metals | 重要鉱物回収 | 独自の低エネルギー型湿式製錬プロセスにより、産業廃棄物から希土類元素及び高付加価値鉱物を回収。大手国際鉱業企業の支援を受けている。 |
| florrent | 系統用蓄電 | 再生可能エネルギーの系統統合、EV充電インフラ、グリッド安定化向けの次世代型ウルトラキャパシタを開発。独自の低コスト蓄電技術により、従来の蓄電池では対応が難しい電力安定性の課題に対応する。 |
| Turnover Labs | 産業用CO2の化学品転換 | 産業活動から排出されるCO2を、プラスチックや溶剤、燃料などの高付加価値な化学品原料へ転換するオンサイト電解システムを開発。従来システムと比較して稼働寿命が500%長く、エネルギー効率が40%高いとしている。 |
米国クライメート企業6社によるピッチ
最後に、横浜市米州事務所の西川所長は閉会挨拶の中で、横浜市が国連や世界銀行等の国際機関と連携しながら、サーキュラーエコノミーや持続可能な都市づくりを進めてきた実績を紹介した。更に、今後のクライメート分野の日米連携を進める取り組みとして、①米国スタートアップによる日本での協業及びパイロット導入を直接支援するハンズオン型の取り組みと、②継続的な交流の場を設けることで日米の関係者間の関係構築を促すエコシステム構築型の二つのアプローチを通じて、日米間のクライメート及びディープテック分野における連携を中長期的に深化させていく決意を示した。
米州事務所長による閉会挨拶
全セッション終了後はネットワーキングセッションが設けられ、登壇者や参加者の間で活発な意見交換が行われた。スタートアップの発表者と投資家、日本企業の担当者が直接対話する機会となり、今後の協業に向けた具体的な接点が多数生まれた。
横浜市米州事務所は、今後も、こうした取り組みを通じて、横浜市内企業の北米展開支援及び日米間のクライメート・ディープテック分野におけるネットワーク形成を一層推進していく。
Recapショートビデオ













