地理と交通

ユニオン郡はオハイオ州の中央部にある郡で、フランクリン(Franklin)、デラウェア(Delaware)、マディソン(Madison)、ローガン郡(Logan)の一部を合併(union)してできたことからこの名前がついた。(Google Map)。郡都はメアリーズビル市(Marysville)。ユニオン郡は、オハイオ州最大の都市で首都のコロンバス市(Columbus)を中心とするコロンバス大都市圏に含まれている 。コロンバス市ダウンタウンから30マイル(約48キロメートル )程度の距離にある。最寄りの国際空港はコロンバス市にあるジョン・グレン・コロンバス国際空港(John Glenn Columbus International Airport)。交通手段は自動車のみで、地下鉄やライトレールなどの旅客鉄道サービスはない。

統計(人口、産業)

ユニオン郡の人口は56,741人(2017年、米センサス)である。全米平均と比べて白人の比率が非常に高く(ユニオン郡:91.4%、全米:76.6%)、黒人の比率は全米平均よりかなり低く(ユニオン郡:2.7%、全米:13.4%)なっているが、アジア系は4.1%と全米平均の5.8%よりやや少ない程度である。25歳以上にしめる最終学歴が学士卒業以上の割合は30.8%(2013-2017年)で全米の30.9%とほぼ同じである。平均所得は全米平均57,652ドルの約1.4倍の78,848ドル(2013-2017年)となっている。

産業別では、特に製造業と専門的・科学的・技術的サービスにおける雇用数の全産業合計に占める割合が、全米平均よりかなり高い。

国道33号線沿いに広がる自動車クラスター

国道33号線(U.S. Route 33)はインディアナ州から、オハイオ州、ウェスト・バージニア州を通って、バージニア州までつながっている。国道33号線はユニオン郡を北西から南東に斜めに走っており、その周辺には数多くの自動車関連メーカーの拠点が集積している。その中心的な存在が本田技研工業の米グループ会社Honda of America Mfg.である。同社はユニオン郡全域で7,000人近くを雇用しており(Columbus 2020 Facilities Database)、郡内で雇用数が最も多い企業である。本社をメアリーズビル市に構え、四輪車及び四輪車用エンジン製造や研究などに携わる複数の拠点を郡内に置いている。また、博物館「Honda Heritage Center」も設置している。ユニオン郡には、Honda of America Mfg.以外にも、ドイツのタイヤメーカーContinental傘下のゴム・プラスチック技術企業ContiTech、油圧・空圧製品のグローバル・メーカーParker Hannifinの油圧・ポンプ部門、住友電工の米グループ会社Sumitomo Electric Wiring Systemsの自動車ワイヤーハーネス製造・研究開発施設など、自動車や産業機械関連などのメーカーや、グローバル・ロジスティックス・プロバイダー日新のNissin International Transport U.S.A.などが立地している 。加えて、ユニオン郡に隣接し、国道33号線が通っているローガン郡やフランクリン郡にも、本田技研の米グループ企業・関連施設や、DENSO International America、Hitachi Auto Systems、Panasonic Automotive Systemsなどが集まっている。

なお、ユニオン郡における自動車産業以外の企業としては、大手芝生関連製品メーカーThe Scotts Miracle-Gro Companyや、家畜生殖管理サービスSelect Siresなどの地元企業のほか、スイスの大手食品飲料メーカーNestleなどがある 。

スマート・モビリティ実現を目指す産学連携プロジェクト

自動車メーカーの集まる国道33号線沿線では、産官学が連携して、「33スマート・モビリティ・コリドー(33 Smart Mobility Corridor)」プロジェクトを進めている。ユニオン郡のあるオハイオ州では、スマート・モビリティ・イニシアチブ(Smart Mobility Initiative)に取り組んでおり、自動運転車(autonomous vehicle: AV)やコネクテッド・カー(connected vehicle: CV)に関する研究を州全域で実施している。33スマート・モビリティ・コリドーは、オハイオ州政府イニシアチブの主要プロジェクトのひとつになっている。

33スマート・モビリティ・コリドーでは、連邦運輸省からの助成金や地元で調達した資金を財源として1,500万ドルを投じて、国道33号線沿いに光ファイバー・ネットワークを張り巡らせ、ハイウェイ・センサーを導入したコネクテッド・ビークル・インフラストラクチャ(connected vehicle infrastructure:CVI)を整備し、あわせて政府や民間企業の業務用車両がデータの送受信を行えるような装備の取り付けを進めている 。この車両‐インフラ間(Vehicle-to-Infrastructure:V2I)通信から得られたデータを活かし、国道の渋滞を緩和するとともに、安全性を高めることを期待している。メアリーズビル市、ダブリン市(Dublin、フランクリン郡、デラウェア郡、ユニオン郡にまたがる都市)、ユニオン郡、オハイオ州運輸局(Ohio Department of Transportation:ODOT)、Honda、Battelle、TRC、オハイオ州立大学工学部などが参加している。

同プロジェクトの一環として、メアリービル市では「コネクテッド・メアリーズビル(Connected Marysville)」を進めている。市内のすべての信号機を専用狭域通信(Dedicated Short Range Communications:DSRC)技術を備えたものにアップデートし、これと通信できる車載器(On-Board Unit:OBU)を最低1,200台の車両に搭載し、市内全体で、実社会環境におけるスマート技術の開発と実験を行っていく。ユニオン郡とメアリービル市はこのほか、ドローンによる交通状況のモニター・プロジェクトや、シカゴ‐コロンバス‐ピッツバーグ間をつなぐ次世代超高速輸送システム「ハイパーループ(Hyperloop)」プロジェクトなどにも、他のステークホルダーとともに積極的に関わっている。

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