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ボストンの気候テックエコシステム②:全米最大の気候テック・インキュベーター「グリーンタウン・ラボ」

執筆者 | 2023年1月13日

グリーンタウン・ラボは北米最大の気候テック・インキュベーターであり、ボストンの気候テック・エコシステムの中でも存在感を放っている。2011年、気候テック・スタートアップ4社(Promethean Power Systems, Altaeros Energies, Coincident (現Embue), OsComp Systems(現Reach Production Solutions))の共同活動スペースからスタートしたグリーンタウン・ラボは、スタートアップ同士が技術的なヒントを交換し、技術的な問題点があるときはこのスペースに所属するエンジニアに問題の解決を手伝ってもらうなど、技術的・革新的な解決策を生みだしながら、メンバー企業と共に成長してきた。[1]

  • グリーンタウン・ラボは、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学があるケンブリッジに近い、サマービルを拠点とし、グリーンタウン・ラボがこれまで支援した500社以上に及ぶ企業は、40億ドル以上の資金調達に成功し、9,000以上の雇用を創出している。[2]
  • 支援スタートアップの生存率は94%を誇る。[3]
  • 現在、ボストンのグリーンタウン・ラボでは、およそ150社、ヒューストンと合わせると200社以上がメンバーとなっている。[4]

グリーンタウン・ラボのコミュニティ

作業スペースを貸し出すハード面での支援だけでなく、企業スポンサーとの連携機会や投資家とのネットワーキング機会など提供することで、グリーンタウン・ラボをハブとした気候テック・コミュニティが形成されている。

  • パートナー企業との連携プログラム「グリーンタウン・ゴー(Greentown Go)」では、建物、エネルギー、食、製造業、交通の6分野で、アド・ホックなコーポレート・プログラムを実施している。[5]
  • 例えば、製造業分野のプログラム「Go Make」では、2022年に、パートナー企業である北米三菱商事が、シリコンバレーで立ち上げた日系企業同士のビジネス共同研究室「M-Lab」のメンバー企業8社、そして、厳選されたグリーンタウン・ラボのメンバー5社と共に、製造業サプライチェーンにおける脱炭素化をテーマとした、6か月間のコホートを実施した。[6]
  • 投資家プログラムでは、投資家の優先事項に応じたスタートアップ紹介、スタートアップの資金調達活動状況のレビュー提供、投資家とスタートアップとの個別面談のあっせん、投資家とのネットワーク・セッションなどを通じて、投資家とスタートアップとのマッチングを支援している。[7]

 

グリーンタウンラボのメンバーはどこからやってきていかに成長するのか

グリーンタウン・ラボには、州外・海外からも多くのスタートアップが集まってくるが、最も大きな割合を占めるのは、州内のスタートアップである。グリーンタウン・ラボのメンバー企業や卒業企業の足跡を辿ると、州内の大学出身者が起業し、マサチューセッツ州関連政府やボストン地域のアクセラレーターなどから支援を受けながら開発を進めるというケースが多くみられる。ボストン地域には気候テック領域のスタートアップが成長するための環境があることで、地域外からもスタートアップや資金、技術を探索する大手企業などを呼び込んでおり、さらなる好循環を生み出している。

次項以降では、ボストンの気候テック・エコシステムを取り巻くプレーヤー同士の相互作用を見るため、グリーンタウン・ラボのメンバー企業との関係性を糸口に、エコシステムを構成する主要プレーヤーを取り上げていく。

前項、続きはこちらから↓

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