北米特集記事

SDGs自発的ローカルレビュー(VLR)先行都市の取組レポート

執筆者 | 2020年4月8日 | 特集記事

SDGsを積極的に推進する都市の間で、都市レベルでのSDGsの進捗状況をレビューする自発的ローカルレビュー(VLR)の取組が広がっています。昨年、米国のブルッキングス研究所の呼びかけによって集まったSDGsを推進する都市間のネットワークで、VLRを実施した先行都市の経験が共有されました。そして、ブルッキングス研究所は、横浜市も参加するこのネットワークでの議論と、先行都市のVLRを基に、持続可能な開発を計画するためのツールとしてVLRの有用性と課題を考察するレポートを発表しました。

VLRの実施体制や範囲は都市によって異なるものの、多くの都市で、①SDGs目標と既存の市計画の整合(マッピング)、②SDGsターゲット・指標のローカル化、③既存の市計画の進捗を基にしたレビューというプロセスを経てレビューが実施されています。また、VLRはよりよい政策形成のためのツール、そして、説明責任も含めた対内的・対外的なコミュニケーション・ツールとしての価値が期待されている一方で、都市の状況の違いから、VLRの適用のさせ方は、各都市に自由度を持たせるべきという意見も示されています。

企業の成長戦略としてSDGsに向き合う企業が増えているのと同様に、SDGsは都市の成長戦略と強くリンクします。将来のあるべき姿を定め、目標に向かって何をするか、SDGsの自発的ローカルレビューは、都市がいかに成長するかの成長戦略のあり方にも示唆を与えてくれます。

ブルッキングス研究所レポート及び各先行都市のVLRの情報を基に作成したレポートは、こちらからダウンロードいただけます。

 

関連リンク:

ブルッキングス研究所レポート「Next generation urban planning: Enabling sustainable development at the local level through voluntary local reviews (VLRs)」

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